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高森明勅
2020.11.8 06:00皇統問題

皇室典範改正は憲法の要請

「立皇嗣の礼」の後、時を空けないで、
皇位の安定継承に向けた政府の検討が始められる。

それが国会(つまり国民)との約束だ。
そこで念の為に、最も初歩的な論点を改めて“おさらい”しておこう。
憲法第2条に以下のようにある。

「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、
これを継承する」ここには2つの要請が盛り込まれている。
1つは、皇位の「世襲」継承。もう1つは、その継承が「国会の議決した皇室典範」
のルールに従うべきこと。
ところが従来、この2つが全く矛盾した状態にある。
それが最大の問題だ。

すなわち、現在の皇室典範のルールに従う限り、皇位の世襲継承は早晩、
行き詰まる他ない、ということ。
何しろ、明治の皇室典範以来の「男系男子」限定という、歴史上、
かつて無い厳しい制約を“維持”しつつ(典範第1条)、
一方で「男系」継承を維持する為に不可欠で、明治典範も当然、
前提にしていた非嫡出による継承可能性を、一切“排除”しているのだ(同第6条)。
これはムチャ。

従って、皇位の世襲継承そのものを断念しないのなら、
皇室典範のルールを変更して、非嫡出の継承可能性を復活させるか、
それとも男系男子の縛りを見直すか、その二者択一しかない
(一般に唱えられる旧宮家案も女性宮家案も、この二者択一を踏まえなければ、
本質的な選択肢たり得ない)。

前者があり得ない(又、万が一、制度上復活したと仮定しても、
実際に機能するとは考えられない)以上、後者を選ぶ他ない。
それは、皇位の世襲継承を規定した憲法それ自体の要請と言うべきだ。
追記。

11月5日発売の「週刊新潮」(11月12日号)
“立皇嗣の礼”関連記事に私のコメントが掲載されている。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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